IoTとは?歴史や技術要素、製造業における活用方法を解説

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昨今では、至るところで「IoT」という言葉を見るようになりました。IoTを活用した製品やサービスはすでに数多く存在しており、ビジネスにおいて大きな役割を担っています。しかし、グローバルな視点で見ると日本のIoTは遅れているという見方もあり、経済産業省などが中心となってIoT化が進められている状況です。
ただし、IoTの活用が推奨されているからといって、安易に飛びつくべきではありません。IoTのことを正しく理解した上で、導入していく必要があります。そこで本コラムでは、IoTの定義や歴史、IoTに必要な技術要素について触れた上で、IoTとの親和性が極めて高い製造業における活用方法について解説していきます。
IoTの定義と歴史
IoTは「Internet of Things」の略称であり、「モノのインターネット」と訳されています。2010年代中頃からよく使われるようになった言葉ですが、実は20年近く前から存在していた言葉であり、概念です。
最初に「IoT」という言葉を用いたのは、マサチューセッツ工科大学のAutoIDセンサー共同創始者であるケビン・アシュトン氏でした。1999年に、当時のRFID(バーコードでタグを1枚1枚スキャンするのではなく、電波で複数タグを一気にスキャンするシステム)による商品管理システムを、インターネットにたとえて「IoT」と呼んだのです。
当時から「いつでもどこでもモノとモノがつながる」というIoTの概念は存在しましたが、そのテクノロジーを実現するための高い技術とコストがネックとなり、現在のように世の中に広がることはありませんでした。
また、2000年頃には機械と機械の通信を意味する「M2M(Machine to Machine)」というキーワードが台頭し始めたため、IoTはその陰に忘れ去られた存在となってしまいました。キーワードとしてはM2Mが目立っていましたが、概念としてはM2MもIoTの一つの要素といえます。IoTがモノとモノとの通信から人へデータを受け渡すところまでを含めた概念であるのに対し、M2Mは機械と機械でデータのやりとりをするシステムを指す言葉であるためです。
その後、2008年から2009年の間に全人類の人口よりも多くの機器がインターネットに接続されるという転換期を迎えます。そして2012年、ドイツが国家戦略の中で「Industry4.0」を掲げます。製造業の工場にIoTを導入することでドイツ国内の製造業を守ろうという取り組みでしたが、この動きが世界的な「Industry4.0(第四次産業革命)」へと発展していきます。Industry4.0の後押しを受け、その間のクラウドやビッグデータ分析技術の発達もあり、今度こそIoTが世の中に広まっていったのです。
※出典:総務省 令和3年 情報通信白書
2021年に総務省が公開した「令和3年版 情報通信白書」によると、世界のIoTデバイス数は2020年時点で約253億台となっており、その後も順調に増加していくと予想されています。すでにIoTは本格的な普及期に入っており、企業にとってもIoTの活用が必須になっていくと考えられます。
IoTを構成する技術要素
IoTが「モノのインターネット」を意味することを先に述べました。それでは、「モノのインターネット」を実現するにはどのような技術要素が必要になるのでしょうか。
モノとモノをつないでデータをやり取りするためには、センサーのようにモノの状態を取得するための技術が必要です。次に、IoTデバイスやコンピュータをネットワーク上につなげるための通信技術、ネットワーク上でつながったデータを収集するための技術も必要になります。たとえば、「Amazon Web Service」や「Microsoft Azure」などのクラウドコンピューティングを利用してデータを収集し保存しておけば、必要な時に必要なだけサーバを利用することができるので、低コストかつスケーラブルな運用が可能になります。
IoTで収集されるデータは、先ほど述べたセンサーから取得するデータだけではなく、一般のユーザーが発信するデータも含まれます。スマートフォンとSNSの普及によって、お店や商品の感想や動画などがリアルタイムでインターネット上に投稿されるようになり、ネットワーク上のデータ量は日々増加しています。IoTでは、これらのデータを活用するための技術も必要です。ビッグデータアナリティクス、たとえばAI(Artificial Intelligence/人工知能)で高度な分析をすることにより、これまで活用しきれなかったデータを活用することができるようになりました。
また、昨今のデータ量増加を受けて、データの保存先がクラウドであることのデメリットも出てきました。膨大に膨れ上がったデータをスピーディに分析しフィードバックするには、全データをクラウドに収集してから処理するのではなく、デバイス側で直接処理を行う方が高速かつ効率的です。さらに、デバイス側でデータを処理すれば、機密データがローカルに保持されるというメリットもあります。
このデバイス側でデータを処理する技術は「エッジコンピューティング」と呼ばれています。エッジは「端っこ」を意味する言葉であり、エッジコンピューティングではエッジデバイス(モノにあたるもの)とゲートウェイ(エッジデバイスをインターネットにつなぐための中継装置)を利用して、リアルタイムなデータの分析やフィードバックを行います。
IoTシステムでは、IoTデバイスとクラウド間でデータのやり取りをする際にオープンなネットワークを経由するケースがほとんどです。その結果、外部からの不正アクセス、通信傍受、データの改ざん、なりすまし、といった脅威に晒されており、セキュリティ技術も重要な要素となっています。
製造業で進むIoT化

続いて、Indutry4.0のコンセプトでもある製造業におけるIoTについて考えてみましょう。製造業がIoTを活用するメリットとしては、次のような内容が考えられます。
- 工場内のあらゆるデータを見える化して改善することで、コスト削減や業務効率化を実現できる
- 設備の異常やトラブルを自動で検知することで、点検やメンテナンスにかかる手間を削減できる
- データを活用した新しい製品やサービスを創出することで、顧客に対する付加価値を高められる
- 熟練の技術者の技やノウハウを蓄積することで、次世代へと継承できる
ドイツや日本のように製造業が基幹産業である国にとっては、IoTを活用して製造業の優位性を確保することが国家経済の発展につながるといえるでしょう。
それでは、実際にIoT化された工場では何が起こっているのでしょうか。
エッジデバイスである工場内の設備や装置、ロボット、温度や振動などのセンサーをネットワークにつなぐと、エッジデバイスから収集されたデータはネットワークを通じてゲートウェイに送られます。ゲートウェイは異なるプロトコルのネットワーク同士を中継するルーターのようなものであり、高性能なCPUと大容量のメモリが搭載されています。ゲートウェイに処理能力を持たせることで、必要な情報のみを効率的にクラウドに送ることができ、ネットワークへの負荷や通信遅延を減らせます。
異常を検知したデータのように、詳しく分析が必要なデータのみがクラウドに送られます。クラウドには複数の機器や現場のデータが蓄積されており、それらのデータを活用して分析することが可能です。現場側でデータを処理すれば、機密情報を保護してからクラウドに送れるようになるため、セキュリティの観点でも安全といえます。
このように、工場内の装置やロボットから得られたデータを活用して稼働状況をリアルタイムに把握し、異常を事前に検知することで、異常が起きてから対応するよりも大幅にコストと時間を削減できます。また、熟練技術者のノウハウに頼っている状況からも脱却することができるのです。
製造業におけるIoT活用事例
製造業ではすでにIoTの活用が進みつつあり、実際に成果を上げている企業も数多く存在しています。ここでは、製造業でどのようにIoTが活用されているのか、2つの事例をご紹介します。
IoTによるミスの防止と作業効率の向上
機能性着色剤を製造・販売しているある企業では、紙で印刷された製造指示書にもとづき、作業者が多種多様な原材料を扱いながら製品を製造していました。手作業による工程が多いこともあり、原材料の選定や計量時にミスが発生してクレームになっていたといいます。
しかし、IoT技術を用いた計量システムを導入し、製造指示情報を計量器に蓄積することで、次のような導入効果を得られました。
計量時に原材料のバーコードラベルを読み込み、間違いがないかチェックすることで、原材料の選定ミスを防止できた
計量器に原材料の使用量を表示し、作業者がその通りに計量することで、計量ミスの発生を防止できた
計量結果を自動で記録してシステム上に保存することで、確認・記録作業の手間がなくなり作業工数を削減できた
IoTによる安定した24時間365日稼働の実現
プラスチック製品を製造・販売しているある企業では、射出成形機の稼働率向上が課題となっていました。多くの製品を効率的に生産するためには設備を24時間365日稼働させる必要がありましたが、夜間や休日の生産に多くの手間や人員を割くのが難しく、作業者の負担になっていたといいます。
しかし、射出成形機の稼働状況を把握できるIoTシステムを導入したことで、次のような導入効果を得られました。
ネットワークカメラを通じて各設備の様子がどこにいても確認可能となり、少ない人員であってもトラブルの発生を迅速に検知できるようになった
複数の設備の稼働状況や生産性を一覧画面で把握できるようになり、一人の作業者が管理できる設備台数が増加した
より少ない人数で多くの設備を稼働できるようになったことで、売上増加につながった
※参考:中小ものづくり企業IoT等活用事例 概要資料(経済産業省)
IoTを自社に導入するには
IoTを導入してコスト削減や業務効率化を図りたいと考えているものの、何から始めればよいのか分からないという方は多いのではないでしょうか。
- データを取得するためにセンサーを取り付けなければならないのか?
- データを保存するためにクラウドサービスを契約しなければならないのか?
- そうは言っても効果がわからないうちから導入コストをかけたくない。
コアコンセプト・テクノロジーでは、豊富な製造業の知識を元に、製造業向けIoT/AIソリューション「Orizuru」を提供しております。IoTを活用したシステムやソリューションの開発や導入支援を得意としておりますので、まずは現状を分析し、効果のありそうな部分から必要最小限にIoTを導入していくことも可能です。IoTの導入・活用をご検討中の方は、ぜひお問い合わせください。
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※出典:総務省
