【製造業DX】 製造業のDXと深く関わるエンジニアリングチェーンとは

■Contents
昨今、製造業のDXの観点からエンジニアリングチェーンマネジメントが重要視されています。エンジニアリングチェーンは企業の製品開発力に直結する重要な要素であり、ITの活用による効率化が求められている状況です。本コラムでは、エンジニアリングチェーンとは何かを改めて紹介した上で、エンジニアリングチェーンマネジメントの重要性や実施する方法を解説いたします。
エンジニアリングチェーンとは?
エンジニアリングチェーンは、製造業の設計部門を中心にしたものづくりの流れを指す言葉です。具体的には、企画・開発・生産準備までの一連の業務のことを指します。

- 企画
市場調査・研究開発・製品企画など - 開発
製品設計・工程設計・設備設計など - 生産準備
設備手配・ライン立ち上げ・品質の作り込みなど
エンジニアリングチェーンをどのようにつなげるかによって、製造業の価値は大きく変わります。企画・開発・生産準備はものづくりにおける上流プロセスであり、調達・製造といったその後のプロセス全てに大きな影響を与えるためです。
サプライチェーン・バリューチェーンとの違いは?
エンジニアリングチェーンによく似た言葉として、サプライチェーンやバリューチェーンがあります。これらの言葉の違いを覚えておきましょう。
サプライチェーン
製品が顧客に届くまでの一連の生産・流通プロセスのことで、販売・生産計画・調達・製造・検査・出荷などの業務が含まれます。エンジニアリングチェーンで決定した製品仕様や製造方法に従って、サプライチェーンが流れることになります。
関連記事 >>【製造業DX】サプライチェーンマネジメントとは?
バリューチェーン
製品が顧客に届くまでのすべての活動を価値のつながり(連鎖)として捉える考え方です。製造・物流・販売といった直接的に価値を生み出す「主活動」と、管理・人事労務・技術開発といった間接的に価値を生み出す「支援活動」に分かれます。
エンジニアリングチェーン・サプライチェーン・バリューチェーンの関係をまとめると、次の図のようになります。縦軸がエンジニアリングチェーン、横軸がサプライチェーン、両者を含めた全体がバリューチェーンと考えるとイメージがしやすいのではないでしょうか。

エンジニアリングチェーンマネジメントがなぜ重要なのか?
昨今の製造業では、エンジニアリングチェーンマネジメントが重要視されています。エンジニアリングチェーンマネジメントとは、企画・開発・生産準備からなるエンジニアリングチェーンを効率化しつつ、ものづくりのプロセス全体の最適化と製品開発力の向上を目指す取り組みです。
エンジニアリングチェーンマネジメントが重要視されている背景には、製造業を取り巻く事業環境の変化があります。
- 製品ニーズの多様化に伴って、多品種少量生産が求められている
- 製品ニーズが短期間で変化するため、開発サイクルが高速化している
- 安全や環境への配慮が厳しく求められるようになり、要求品質が高まっている
- グローバルでの競争が激化しており、低コスト化が進んでいる
これらの課題を解決するためには、ものづくりにおける上流プロセスにあたるエンジニアリングチェーンの見直しが不可欠です。実際に「2020年版ものづくり白書」では、製品の品質とコストの8割は設計段階で決まると言われていることや、エンジニアリングチェーンに資源を集中投下する「フロントローディング」によって、問題点の早期発見・品質向上・後工程における手戻りのムダを少なくすることが重要であることも述べられています。
エンジニアリングチェーンマネジメントを実施する方法
エンジニアリングチェーンでよくある課題は、情報の管理や共有がうまくいかないというものです。たとえば、多くの製造業では次のようなムダやトラブルが発生しています。
- 過去の設計情報が蓄積・共有されておらず、似たような製品であっても一から設計し直している
- 設計時に発見した懸念事項が共有されておらず、生産準備の段階で品質不良が発生する
- 設計変更がリアルタイムに共有できておらず、最新情報を確認する手間や手戻りが発生する
- エンジニアリングチェーンとサプライチェーンがつながっておらず、調達や製造の観点からムダの多い製品仕様になっている
こういった課題を解決するためには、ITの活用が不可欠です。まずは設計情報のデジタル化に取り組んでデータを一元管理し、役割や部門を跨いでデータを共有できる仕組みを構築するとよいでしょう。
特におすすめなのが、「3Dモデルの活用」です。設計情報の3Dモデル化が進めば、設計意図を盛り込んだパラメータを活用して短時間で設計を終えられるようになります。繰り返し行われる設計については、自動化することも可能です。また、3DモデルからBOM(部品表)への展開を行う際にも、パラメータを活用すれば類似品の設計や検索を簡単に行えるようになるため、できるだけ新規設計を行わないようにできます。
3Dモデルを活用するメリットは、設計の効率化だけではありません。たとえば、3Dモデルのシミュレーション機能を活用すれば生産計画や製造方法の最適化に役立ちます。また、3Dモデルから重要寸法値を抽出し、設備のパラメータを自動で設定するといった使い方も可能です。
※出典:ビジネス+IT 製造業DXは「工場のスマート化」で終わりじゃない、今押さえるべき「PLM」のあり方2
このように、設計情報を3Dモデル化して役割や部門を跨いで共有することで、エンジニアリングチェーン全体の効率化が実現します。2Dでの設計が中心という企業は、3Dへの切り替えを検討してみるのが良いでしょう。その上で、PDMやPLMといったデータ管理ソリューションの導入を進めていくのがおすすめです。
エンジニアリングチェーンマネジメントに取り組む企業様へ
今回は、製造業のDXと深く関わるエンジニアリングチェーンについてご紹介しました。エンジニアリングチェーンマネジメントに取り組むことで、企業の製品開発力は大きく向上するでしょう。また、サプライチェーンの領域も含めて、ものづくりのプロセス全体の最適化も期待できます。本コラムを参考にしつつ、自社のエンジニアリングチェーンのあり方を見直してみてはいかがでしょうか。
CCT(コアコンセプト・テクノロジー)では、PLMプラットフォーム「Aras Innovator」やIoT/AIソリューション「Orizuru」の導入コンサルティングを行っており、製造業のデータ活用を支援しています。
「Aras Innovator」は企画・設計・品質管理・製造との連携・アフターサービスに至るまでの製品ライフサイクル全体におけるあらゆるデータを管理するためのPLMプラットフォームです。エンジニアリングチェーンはもちろん、サプライチェーンの最適化にも役立てることができます。

「Orizuru」は、3Dデータの管理・表示・検索を簡単に行える「Orizuru 3D」、各種設備データの取得・制御・連携による製造DXを実現する「Orizuru OPC UA」の2つのモジュールで構成されているIoT/AIソリューションです。CCTでは、「Aras Innovator」と「Orizuru 3D」の連携による3D類似検索機能も提供しています。これにより「Aras Innovator」に蓄積されている過去の設計データを有効活用することが可能です。

関連ページ >> スモールスタートによるPLM導入支援
このように、CCTでは製造業がエンジニアリングチェーンマネジメントに取り組む上で役立つソリューションを提供しています。ご興味のある方は、お気軽にこちらよりご相談ください。
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